LDアイソザイムの検査・分析

1.LDアイソザイムとは何か

LD(乳酸脱水素酵素: Lactate Dehydrogenase)は、糖代謝(嫌気的糖解系)において乳酸とピルビン酸の相互変換を触媒する酵素です。
LDは4つのサブユニットからなる4量体構造を持ち、その組み合わせから5種類のアイソザイム(LD1、LD2、LD3、LD4、LD5)が存在します。
これらは化学的・物理的性質は異なりますが、いずれも同じ化学反応を促進します。

2.LDアイソザイムの特徴

LDアイソザイムは、心筋に多く含まれるH(Heart)型と、骨格筋や肝臓に多く含まれるM(Muscle)型の2種類のサブユニットの組み合わせで構成され、それぞれ特定の臓器に偏って分布しています。

LD1(H4)心筋、赤血球、腎臓(皮質)に多く分布
LD2(H3M1)心筋、赤血球、網内系組織に分布
LD3(H2M2)肺、脾臓、リンパ組織、血小板に多く存在
LD4(H1M3)肝臓、骨格筋、腎臓(髄質)に存在
LD5(M4)肝臓、骨格筋に多く分布

正常な血清では一般的に LD2 > LD1 > LD3 > LD5 > LD4 の順に多く存在します。

3.電気泳動によってどう分析されるか

LDアイソザイム パターン例血清を用いた電気泳動法により、各アイソザイムの電荷の違いを利用して分離します。
陽極側から、 LD1、 LD2、 LD3、 LD4、 LD5 の順に分画します。
泳動後、デンシトメーターで各アイソザイムの構成比率(%)を算出します。

4. 臨床的にどう解釈されるか

血清LD総活性が上昇した際、どのアイソザイムが優位に増えているかを分析し、損傷している臓器や組織を特定(スクリーニング)します。

LD1・LD2の上昇心筋梗塞、溶血性貧血、悪性貧血など
通常はLD2>LD1ですが、心筋や赤血球の破壊によりLD1がLD2を上回る逆転現象が起こります。
LD3の上昇肺梗塞、間質性肺炎、悪性腫瘍(白血病など)
LD4・LD5の上昇急性肝炎、肝硬変、肝がんなどの肝疾患
骨格筋の損傷(進行性筋ジストロフィー、激しい運動)
異常パターン免疫グロブリンとの結合、遺伝子変異など

LDアイソザイム検査は、LD総活性上昇時の原因臓器の特定および疾患の診断の一部に使われています。

最終更新日:2026.10.02

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