1.オリゴクローナルバンドとは何か
オリゴクローナルバンド(OB)は、髄液の電気泳動でγグロブリン領域に見られる複数のバンドで、多くはIgGに属しています。詳細な発現機序は不明ですが、複数の形質細胞クローンの増殖による、髄鞘構成蛋白に対する異常なIgGの抗体と考えられています。
2.オリゴクローナルバンドの特徴
オリゴクローナルバンド(OB)は、典型的な多発性硬化症(MS)で非常に高頻度に認められ、MSの診断に有用とされ、多発性硬化症診断基準(改訂 Mc Donald 診断基準 2005年)の中に取り入れられています。MSは中枢神経における炎症性脱髄疾患で、自己免疫がその病態に強く関与していることが示唆されています。
3.電気泳動によってどう分析されるか
オリゴクローナルバンド(OB)は、アガロース等電点電気泳動とイムノブロッティングを組み合わせた方法により検出します。OBの検出には、感度、高分解能が要求され、濃縮が必要な場合があります。
等電点電気泳動は、電場をかけた際に各々の物質の等電点(Pi)の位置に物質が移動、安定するまで泳動を行う方法です。通常は泳動後支持体を染色しますが、イムノブロッティングを行い染色することにより、高分離度が得られます。
イムノブロッティングは、泳動後、泳動像をニトロセルロースのような転写膜に転写固定し、染色することで各物質の移動度を確認する方法です。通常の電気泳動に比べ、分離度が高いことが特徴です。
OBの検出には、髄液と血清を同時に採取し、電気泳動を行います。
4. 臨床的にどう解釈されるか
オリゴクローナルバンド(OB)は、多発性硬化症(MS)以外にも亜急性硬化性全脳炎、全身性エリテマトーデスなどの中枢性脱髄疾患、神経感染症や膠原病などでも認められます。膠原病などの自己免疫疾患や感染症では、試料として髄液と血清を電気泳動した際に、同じパターンのバンドが見られることが多く、髄液のみにOBが認められた場合を陽性と判断します。そのため、髄液と血清を同時に採取し、髄液と血清で比較することが最も重要とされています。
OBは、髄液と血清を等電点電気泳動した際に、髄液のみに見られる免疫グロブリンの複数のバンドで、MSの診断に有用です。
最終更新日:2026.10.02